ボクとみつおと時々すずしん

1人の学生についてこんなに真剣にブログを書くこともないと思うので、
たまにはしっかり書いてみようと思う。

怒濤の1週間が終わった。

今週1週間は「MITSUO」と呼ばれる髭の濃い大学4回生のおっさんとほとんど一緒に過ごした。

家族ともこんなに長時間一緒にいたことはないので、ゾクゾクした気分だ。

「MITSUO」について詳しく説明すると、
彼は、B-POPっぽい服装をし、かなりイケイケのキャップをいつもかぶっている。
いますぐにでも「チェケラ」とラップを歌おうとする勢いだ。
また髭も濃すぎて、毎朝剃っているそうだが、だいたい皮膚が負けて真っ赤になっている。
もし同世代で大学が一緒だったとしても、絶対に自分からはしゃべりに行かないと思うそんな存在だ。

また、彼と音楽のセンスは全くと言っていいほど合わない。
作業をしていると、「音楽かけますね。」と、洋楽(しかもクラブミュージックっぽいやつ)をガンガンかけてくる。
「(こ、こいつ、これで本当にこれを聞きながら、作業をする気なのか、、、正気の沙汰か、、、)」と蔑んだ目で見ている。

そんな身なりはまったく合わない彼とだが、
タックを組んで業務をこなしていると、とてつもなく波長が合う瞬間がある。

いつものごとく、
「これMITSUOやっておいて」「あぁーそれはMITSO任せた!」などと適当なことを言って、
パスを供給し続けてきたのだが、

ある時、彼に「次それ終わったらこれやってほしいねんけど。」と聞くと、
「さっき頼まれてた分は終わって、それもう今やっているところです。」と平然と返事が返ってきた。

「す、すばらしい、、部下にしたいランキングがあるとすれば、堂々の第1位だ!」
単に言われたことをやるだけでなく、次に何をしないといけないかを考えて、行動する。
こんなスーパー学生はなかなか見たことがない。

イベント当日もかばんの中をあけて、どこに何が入っているのか分からない自分。
結局、「MITSOあれどこにあるのー?」と毎回聞くしかないという何とも情けない状況だった。

イベントが終わり、色々と振り返ってみると
大変な状況だったが、この1週間、彼の口から愚痴を聞いたことはなかったなとふと思った。
もし彼から「こんなんやってられるか」と言われても、誰も責めたりはしない状況だったにも関わらず。

彼を動かす物はなんなのだろうか。

イベントの最後に彼が全体へと話した内容にこんなものがあった。
「正直想いはない。けど、目の前に子どもがいる。時間とお金をかけて、参加してくれる大学生がいる。だから自分がやるんだ」

彼は4回生でこの春卒業する。
そんな彼と最後に濃厚な時間を一緒に過ごせたことは本当に良かったと思う。
また、今の在校生には本当に彼の姿を目に焼き付けておいてほしいと思う。

「誰かの努力を無駄にしたくない」彼が大事にしている言葉だ。

口だけでなく、自分の言葉を行動に移し続けることは本当に難しい。

自分も追い詰められたりした時は、何度も逃げ出したいと思うことはあった。
ただ、そういう時は、いつもあることを思い出す。

学生の時に、ある高校生が自分の話を聞いて、感銘したと最後に話しにきてくれた子がいた。
「俺も頑張るから、君も頑張ってな」とそう言って別れた。
今どこで何をやっているのかは分からないが、
もし今彼女が自分の言葉を信じて頑張ってくれているとすれば、自分の逃げたいという行為は嘘をついたことになるのではないか。
逃げたくなるときは、いつもそう思い、自分を奮い立たせてきた。

彼の言葉を聞きながら、彼の姿を見ながら、
自分の言葉に嘘をつかないようにしてきてよかったなと改めてそう感じた。
そんなことを考えさせてくれる一週間だった。

(片岡)