学生が社会人を雇う組織

たまに他団体の人たちと一緒に仕事したりすると、学生ではなく、職員の方が来てくださいと言われたりすることがある。たとえその学生が当法人の副理事長や常務理事であっても、そんなことをいう大人たちがいる。
確かに普通の組織で考えれば、学生よりも職員の方が責任は重たい場合が多いだろう。
ただ、この組織は少し普通の組織と異なっている。
それはこの組織がNPO法人でありながらも、学生サークルとしての出自を持っているからだ。
私たちの始まりは、1994年に関西学院大学の1年生によってつくられた家庭教師サークルである。まさに学生だけの学生サークル。
その翌年に阪神・淡路大震災があり、そのサークルでは被災した子どもたちの支援を行うようになり、徐々に活動は大きくなっていった。
年間予算は1千万円を超えるようになったが、それでも単なる学生サークルだった。
ただ、それぐらいの規模になると活動を維持するためには、事務所も必要だったり、細々とした事務を行う職員も必要になった。
そこで学生サークルが職員を雇った。その第一号が私だった。
その後、そのサークルはNPO法人になり、現在に至るがその本質は変わっていない。
いまも理事の過半数は学生が担っているし、職員を採用する場合には学生理事が面接を行う。職員の給与も学生が査定している。
普通の団体では職員のお手伝いとして学生のボランティアが存在しているのかもしれないが、この組織では学生がその目的を達成するために職員を雇用して、必要な業務を行わせている。
なので、職員よりも学生の方が責任が大きいこともしばしばだし、副理事長、常務理事、理事などになると、法律上も職員より責任が大きい。
でも、なかなか他の組織はそのことが理解できない。
だから「責任のある職員を出して」などと言われるのだ。
この一般的な考えを打破していくことも私たちの役割の一つかもしれない。(のじま)