哲学と教育学の出会い

 私が副所長を務めている尼崎市学びと育ち研究所で、「尼崎学びと育ち研究シンポジウム 〜エビデンスに基づいた教育政策を目指して〜」が開催されました。
 この研究所は市や教育委員会保有する様々なデータを専門の研究者が分析を行い、子どもたちの学びや育ちに関する教育政策を立案することを目指しています。
 今回のシンポジウムでは各研究員の研究発表のあと、研究所所長で大阪大学教授の大竹文雄先生、主席研究員で慶應義塾大学准教授の中室牧子先生、そしてアドバイザーで熊本大学准教授の苫野一徳先生の3名で鼎談が行われました。大竹先生と中室先生は経済学、苫野先生は哲学のご専門でまさに「経済学×哲学」の対話が行われました。中室牧子先生の『「学力」の経済学』がベストセラーになって以降、教育経済学が非常に注目を集めていますが、教育経済学は教育の成果や効果を測定し、因果関係を明らかにすることには優れていますが、一方で教育とはなにか、教育はなにを目指すのかといった本質的な問いについては答えることができません。その両者はあたかも水と油のように捉えられることもありますが、哲学と教育学が連携することによって、教育政策は大きく前進していくと思います。(のじま)