あこがれつづけた学校の
門をくぐった3年前
奪われていた文字一つずつ
取り戻していく日のうれしさよ

これは尼崎市立成良中学校琴城分校の校歌です。
校歌としてはなにか違和感のある歌詞のように思われるかもしれません。

実はこの学校は夜間中学なんです。
夜間中学というのは様々な理由によって義務教育を受けることができなかった人たちが、仕事をしながら夜間に通学する中学生です。
近年はかつて義務教育を受けられなかったご高齢の方々や中国残留孤児の方々、また外国籍の方々などがそこで学んでいます。

多くの人たちにとって、学ぶ権利は当然のものと考えられている中、それは決して当然の権利ではなかったことを思い起こさせます。
人類の歴史を振り返れば、すべての人々が基礎的な初等教育を受けることができるようになるまで、長い道のりと多くの闘いがありました。
この校歌からはそのことが伝わってきます。

文字を「知らなかった」訳でも、「忘れていた」訳でもなく、「奪われていた」
そのことに私たちは再び学ぶことの意義や重みを再認識させられます。(のじま)