もったいないかどうかはわからないけれど

学生時代に、カタリバという名の、高校生のキャリア教育プログラムに関わっていました。
最近は、小学生や中学生が参加する学習会に行く機会があります。

この学習会に来ると、ある友人を思い出します。
私がBHに関わるきっかけをくれたその人は、高校の同級生でした。

カタリバでは、自分のこれまでの経験や体験を通して、気づいたことや感じたことを紙芝居形式で高校生に語りかけるコンテンツがあります。

彼女は、この紙芝居の中で高校時代の話をします。
学校には友達に会いに行ってた、欠席も多く、遅刻せずに来ることなんてほとんどなくて、来ても授業中は寝る毎日。それでも毎日が楽しくて、それでよかった。
と、そんな話から始まる紙芝居です。

そんなある日、友人に「もったいない」と言われたそうです。

そうなんです。彼女にその言葉をかけたのはどうやら私のようです。
いやー、確かにそんなことを言った気がします。今考えると本当に失礼な話ですよね。。。
上から目線もいいところです。

ただ、私はあの時も、そして今でも、彼女を尊敬しているんです。

「数学や理科は、将来何の役にも立たなさそうだからやらない。英語は役立ちそうだからやる。」
そう言っていた彼女は、定期的に英検やTOEICを受験していて、スピーチコンテストにも出ていました。
全ての授業で寝ているのに、英語の授業だけ突如当てられてもすぐに答えていたのをよく覚えています。数学は特に壊滅的でしたが、教えると解けるようになりました。

バイトは将来の役に立ちそうだから頑張っている、そういった彼女のバイトでの評価はかなり高かったと思います。

どう考えても自分より賢い彼女が、学校や先生たちからの評価が低かったことは想像に難くないでしょう。それは、私には納得しがたいことでした。

だから、彼女が皆さんもよくご存じの関西の私立大学に行きたい、だけどこの成績と学力では難しそうだ・・・と話してくれたとき、絶対に行けると思うと同時に、力になりたいと強く思ったんです。

学校や図書館で彼女と一緒に受験勉強をしました。勉強だけでなく、色々な話をしたと思います。
彼女は、紙芝居の中で、勉強をすることをきっかけに、毎日がもっと充実するようになったと話していました。

学習会に来ている子たちの状況や学力は様々ですし、勉強をすることや、勉強ができることが全てではもちろんありません。

それでも、
勉強が選択肢を広げるのであれば、
勉強をすることで、少しでも褒められたり、認められる機会が増えるのなら、
勉強ができることで、少しでも自信を持つことに繋がるのなら、
勉強が今より少しだけ、楽しいものに変わるのなら、

そうであれば嬉しいなと思っていたりします。

こまい