学齢社会はそんなに悪いのか

家庭の経済格差は子どもたちにとっては学校外教育格差を意味する。
わが国の学校教育は国際的に見ても高い水準で、且つ全国津々浦々、均一な水準で提供されている。
その結果、子どもたちの学力などの格差は学校ではなく、学校外で生じることになる。
塾や予備校、習い事、文化教室、スポーツ教室などの学校外教育は基本的に受益者の費用負担により運営されており、それらの費用を負担することのできる家庭の子どもだけがそれらのサービスを受けることができる。
家庭の経済状況が厳しい子どもは当然、それらの学校外教育を受けることができない。
その結果として、子どもたちには学力や文化資本、意欲などの格差が生じることになる。
それらを是正するため、私たちはチャンス・フォー・チルドレンという公益法人を設立し、学校外教育バウチャーの提供を行っている。
バウチャーとはクーポン券のことで、それを学校外教育サービスの対価として用いることができる。
この仕組みは家庭の経済的格差による子どもたちの学校外教育格差を是正するためにきわめて有効な手段だと我々は考えているが、一方で、この仕組みは学力や学歴を中心とした社会構造を是認するものだとして批判されることがある。
私自身は学歴社会についてかなり肯定的にとらえている。
学歴社会は本人の努力や才能が評価される社会であって、極めてオープンな社会だと思う。
身分や出自などによって、評価される社会に比べると非常に自由ですばらしい社会ではないか。
もちろん、学力という指標だけですべてを評価する社会はあまりに多様性がなく、誤っていると思うが、それは評価軸を多様にすべきという主張であって、学力や学歴を否定する主張にはならないと思う。(のじま)