ホーソン効果

このところエビデンスの話が続いていますが、客観的なエビデンスを求めることは非常に難しいことでもあります。
特に人間に関するエビデンスを求める場合、人間には感情や意思がありますから、必ずしも客観的な測定ができなくなることがあります。
その一つの事例がホーソン効果と呼ばれるものです。
これはアメリカにおいて工場の作業効率を高めることを目的に行われた実験の中で見いだされた効果で、当初の実験では作業員の作業効率を高めるために照明の明るさや部品の組み立て手順などの改良を行ったが、その結果、観察されているということ自体が作業員の効率を高めたというものです。
つまり、誰かに観察されているということや期待されているということが、その成果を高める結果になるというのです。
これはプラセボ効果とも似ています。医師が実験のために効果があると患者に効果のない偽薬を与えても、それに効果があると思い込んだ患者には一定の効果が認められるというものです。
なにかの実験において、何らかの成果を期待されている被験者は、意図せずとも、その期待に応えるような行動をしてしまうことがあります。そのため、当初の想定よりもより高い効果を示してしまうことがあります。
人間はなかなか難しい生き物ですね。(のじま)