ランダム化比較試験

最近、ずっとエビデンスの話ばっかりしています。
エビデンスというのは、証拠という意味ですが、最近では「科学的な根拠」みたいな意味で使われています。
4月から私が勤務している尼崎市学びと育ち研究所では、教育や子どもの育ちに関するエビデンスの研究をしています。
エビデンスといっても、その信頼性には色々とレベルがあります。
普通に私たちが日常的に思いつくのは、前後比較です。
例えばあるダイエット食品を1か月食べてもらい、食べる前と1か月食べ続けた後の体型や体重を比較するというものです。「使用前・使用後」みたいな奴ですね。
テレビのCMなどでも、とあるジムに行く前と行った後の有名人の映像が流れたりしています。
私たちはそれを見て、そのダイエット食品やジムにはすごい効果があるんだと思ってしまいますが、この前後比較というのはエビデンスとしては低いレベルであると言われています。
必ずしも痩せた原因がそのダイエット食品やジムだとは言い切れないからです。
例えばそのダイエット食品を食べている人はダイエット食品を食べる以外に運動をしているかもしれません。もしかしたら、たまたまその人とそのダイエット食品の相性がよかっただけなのかもしれません。
そこで考えられたのがランダム化比較試験という手法です。
これはある母集団の人々をランダム(無作為)に分け、一方にダイエット食品を食べてもらい、もう一方にはなにもしないというものです。人の特性には様々な要素がありますが、ある程度、まとまった数の集団を2つに分けたとしたら、それぞれの特性もほぼ均等に2つに別れることになります。その上で、ダイエット食品を食べたグループに変化が起きたとしたら、それはそのダイエット食品の効果であることがわかります。
私たちの日常の感覚だけでは、なかなか科学的な真理を見つけることは難しいのかもしれません。(のじま)