地蔵の効果

私が日々働いている尼崎市学びと育ち研究所の大竹文雄所長の最近の論文に「地蔵が多い地域では幸福度、健康水準が高い」ということが書かれていた。
「地蔵」と「健康」「幸福感」というのはなかなかダイレクトには結びつきにくいが、「見えない存在」を無意識的に認識することが、日々の行動になんらかの影響を与えているのかもしれない。
まあ、これは因果的効果について明らかにした訳ではないので、地域にたくさんの地蔵を置けば、地域の人々が健康になるという訳ではないが(笑)
ちなみに大竹先生が専門とする行動経済学には非常に面白い研究も多い。
例えば「階段に絵を描くと、階段を利用する人が増えた」とか、「坂道の多い地域は健康な人が多い」とか、そんな身近な研究もある。
人々の行動は、ほんの些細なことに影響を受けている。
「見るだけで痩せられる絵」とか、「盛り付けるだけで食欲がなくなる器」とかが開発されないだろうか。(のじま)

伊藤高弘・窪田康平・大竹文雄
「寺院・地蔵・神社の社会・経済的帰結:ソーシャル・キャピタルを通じた所得・幸福度・健康への影響」

小学生の頃に通学路および自宅の近隣に寺院・地蔵・神社があったか否かという変数を用いた.分析結果は操作変数法の有効性を示しており,推計結果からはソーシャル・キャピタルが高くても労働市場でのアウトカムには影響しないが,幸福度および健康水準を高めることであることがが示唆された.

http://www.abef.jp/event/2016/pdf_abst/B1_PR0006.pdf