粘り強さについて

先週は「マシュマロ実験」の話を書いたが、やはり幼少期に培われた特性(非認知スキル)は、その後、生涯にわたって大きく影響を与えることは間違いがないようだ。
ある学者によれば、人間の非認知スキルは8歳までに大部分が形成され、その後はあまり大きく変化しないという。
アメリカのアンジェラ・ダックワースという心理学者は、米国陸軍からの依頼で陸軍のエリートを養成する陸軍士官学校において、その所定のプログラムを修了する幹部候補生と途中でリタイアする候補生とにどのような違いがあるのかを調べた。学力、体力、学歴など。しかし、それらの違いでは、修了する候補生とリタイアする候補生の違いを説明することができなかった。
そして、研究を重ねる中で、決定的な違いとして出てきたのが「GRIT」と呼ばれるものだった。それは日本語では「やり抜く力」「粘り強さ」「我慢強さ」といわれるものだ。そして、そのGRITが士官学校の修了の可否だけでなく、一般市民でも学歴や所得、出世などに大きく影響することがわかってきた。同時にそのGRITが幼少期に形成され、8歳以降は大きく伸びないというのだ。
近年、こうした心理学や経済学の研究成果が明らかになるについて、幼少期の教育の重要性が見直されるようになってきた。
より年少な子どもにどのような教育を提供するのか。私たちも色々と考えさせられる。(のじま)

▼アンジェラ・リー・ダックワース 「成功のカギは、やり抜く力」