経済学について

この4月に尼崎市の学びと育ち研究所の副所長に就任してから、教育や経済学の本や論文を読みまくっている。
教育と経済というのはなんだか結びつかないイメージだが、実は非常に深くつながっている。
一般に「経済学」というとお金の話だと思われがちだが、行動経済学などの領域は心理学や社会学などの知見も取り入れながら、それらの学問に非常に近くなっている。
かつて古典的な経済学が想定していた「人間」は常に合理的で冷静は判断を行うことができるいわゆる「合理的経済人」ものと仮定していたが、実際の社会で生きている人間のほとんどは合理的な判断ができているわけではない。むしろ、理不尽で、非合理的な判断をしながら、生きている。
そうした「人間」の有り様をしっかりと踏まえて、経済理論を打ち立てようとしたのが、「行動経済学」である。そのため、人間の理不尽さ、非合理性も含めて、人間そのものを扱う心理学などの知見が積極的に取り入れられている。
その行動経済学の領域で面白い実験がある。マシュマロ実験と呼ばれるものだ。
この実験は幼児にマシュマロを1個あたえ、監督者が離席している間、そのマシュマロを食べないでいたらもう1個あげるという実験である。
当然、すぐに食べてしまう子どもやしっかりと監督者が再びやってくるのを待っている子どもなどがいる。
そして、その行動によってその後の学力や所得などがどのように違いが出るのかを検証した実験である。
その結果、マシュマロを我慢できた子どもは十数年後の時点においても我慢できなかった子どもに比べて学力などが高いことが明らかになった。
幼児期においてしっかりと自制する能力を持っている子どもはその後もその能力を維持し、他の能力も獲得しているというのだ。
その意味でも未就学の子どもの養育環境や学びはその子どもの人生に大きな影響を与えることになる。
子どもに関わる活動をしている我々にとっても非常に大切な知見だと思う。(のじま)

▼マシュマロ実験の動画