「えれる」と「えられる」の違い

先週末、中学校の生徒会メンバーのリーダー育成研修を行った。
近隣の中学校と一緒に昨年から、生徒会メンバーのリーダー育成を一緒に行っている。今年も色々なプログラムを行ったが、今日は生徒会メンバーが新しくなるということで、新旧の引き継ぎと目的の共有を1泊2日で行った。

自分の中学校の時でもそうだが、朝の挨拶運動や美化点検など、生徒会が行っていることは多いが、そもそも何のためにやってるの?と思うことも多い。しかも、多くのことは先生からトップダウン形式で降りてきていたり、「昨年もやっていたから」ということで継続していたりすることも多い。何のためにやるの?という問いには、やっている本人たちも分かっていなかったりする。

だからこそ、新しい生徒会が動き出す前に、生徒会が、それぞれの委員会が、活動を行う理想の状態を考えてもらった。

それを生徒会全体で議論し、自分たちで承認する。
もちろん僕ら大人もアドバイスや意見は言うが、最終的には彼らに任せる。それを2日間かけて繰り返し行うのだ。

「生徒が主役」

この学校が掲げているスローガンであるが、その考え方は、人それぞれ違っていた。「主役って何なの?」「全員が前にでるのがいいの?」「脇役もいてもいいのでは?」そんな話をみんなで議論した。
「生徒1人1人のために」とはどの学校の生徒会も言うが、結局どのくらい生徒のためになってるのかは不透明である。

最終的には、下記の3つの様なところを話していた。
・生徒の声をきちんと拾い上げる仕組みをつくること
・その意見でほとんどの人が感じている課題は、年間で5つくらい当事者を巻き込みながら実行に移すこと
・実行していることを生徒全員に報告し、生徒がこの学校が自分たちで変えれるんだという感覚を持つようにすること

また、美化委員会の話の中で、「そもそも全員で掃除を行う必要があるのか」という議論があった。
学校をきれいに維持することが目的であれば、掃除が得意な人を集めて掃除を行い、それ以外の人は掃除以外のことで学校に貢献した方が理にかなっている。ただ、全員で協力してやるということに着目するのであれば、美化点検の様な結果をみるものは不要であり、掃除の過程を評価する仕組みが必要になる。

学校全体の目的と摺り合わせながら、ずれていないのか確認しながら、1つ1つ検証していく。かなり細かいところも、妥協することなく、議論していく。

ある男の子が議論の途中で言った。
「それは『えれる状態』ではなく、『えられる状態』じゃない?」
全国どこの中学校を探せば、そんな細かなところまでこだわって、理想の状態を考えている生徒会があるのだろうか。

これからどこまで彼らが実行するのかは分からないし、支えてあげないといけないと思うが、この2日間で彼らの本質をつく意見とそのこだわりには驚かされた。

この学校の取り組みが今後楽しみでしかない。

(片岡)