そしてなにもいなくなった

事務所に入って約2メートル
そこには水草が茂った水槽が存在する。

昔は、そこには色とりどりの魚たちが泳いでいた。
しかし、今はなにもいない

ある日、郵便局のお兄さんが郵便物を待っている間しげしげと水槽を見ていた
私は知っている。その水槽にはなにもいないことを
「お兄さん！その水槽なにもいないですよ・・・」と私は心の中でつぶやいた
しかしお兄さんは水草の間に隠れているカクレクマノミを探すかのごとくしげしげと水槽を見ていた
なんかすみません

ある日、ボランティアが言った。「松本さん！魚買わないんですか？」
私は知っている。理事長は買う買うと言ってすぐ魚のことなんて忘れ去ってしまうことを
「理事長に言ってるんだけどね・・・」と私はいつもの返答をする
でも、水槽はいまだに水草だけが茂っている

ある日、私は言った。「理事長。魚買わないんですか？」
私は知っている。このリマインドはおそらく無駄になることを
そしていつもの返答が来た。「楽天で頼んどく！」
はぁ・・・
私はボランティアにまた嘘を付かねばならない・・・

ある日、理事長は言った。「水草だけでもいいね！」と
私は思った。「こいつ開き直りやがった・・・」と
私は言った。「魚必要ですよ！」と

私は毎日自分の席から見ている
16時に自動スイッチが入る水槽の照明が水草しか照らしていないことを
そのうちきっとタニシもいなくなる
あの水槽には水草以外の生態系は滅びてしまう

理事長
魚
買いましょう！

松本