職員の仲良しさを象徴するワンシーン

理事長:「あかんわ。腹減った。」

その一言を号令に、職員達は今まで以上に黙々とPCと向き合い始める。上司が「ご飯にいこう」サインを出したので、夕食にご一緒するために早く仕事を片付けようとしている………わけではない。

『シンプルな無視』である。

職員たちは、理事長が帰った後に快適な作業空間が訪れることを知っている。しかし、理事長はほとんどの場合、一人で食事に行かない。つまり、誰かがお供しなければ、快適な時間は訪れないのだ。
こうして事務局では各職員の駆け引きが始まるのである。

能島:「田中さん、ごはんいかない?」
田中:「僕今日奥さんが待ってるんで無理っすね。すいません。」

普段からフレックス(暇)な田中さんは素直にご飯に行くランキング上位にいるだけに、この発言は事務局全体を凍り付かせる。

能島:「それは仕方ないね。福井君、今日ごはんは?」
福井:「いや、大丈夫っす。(即答)」

大丈夫ってどっちやねん....と全員が心の中で突っ込む。

能島:「だってほら、今日ごはんまだでしょ?」
福井:「いや、もう食べてきました。(即答)」
能島:「…。でもそれ、第一夕食だよね?」
福井:「は?夕食は一回で充分っす。(即答)」

理事長に「は?」といえる度胸は逆に尊敬してしまう。加えて福井君はこうなってしまうと絶対に行かない。何があってもいかない。
それを分かっているのか、理事長はすぐさまターゲットを変更する。

能島:「え…。じゃあー片岡君!」
片岡:「うーん、まだ仕事あるんで無理っすねー。後で行きますから先行っててください。」

ぜっったいに行かない。その場にいる全員が思ったはずだ。しかし、顔が良いので何でも許されてしまう。世の中は不平等だ。

松本:「社長、ヒマなんすか?」
片岡:「さっきからfacebookばっかり見てますよね。」
能島:「あほか。facebookも仕事のうちじゃ。」
松本:「じゃあ、お家で仕事してもらってもいいですよ。」

事務局長があえて先に話しかけて畳みかけるという技に出る。松本さんは場の空気を読んで自分の思うようにその場を誘導する匠である。

能島:「(かなり落ち込んだ後)岡田君、ご飯行くよ。」
岡田:「…はい。」

こうして、数えている途中のクーポン券を片付け、一番下の私が連れ出されるのであった。

注1)理事長!いつもごちそうさまです!!!
注2)こんなこといいつつ、週に一度は職員みんなでご飯行きます。

(おかたく)