能島のオススメ本『「学力」の経済学』

多分、今日、発売だと思うのですが、BrainHumanityの関連団体である公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンの理事で慶応大学准教授の中室牧子先生が『「学力」の経済学』という本を出版されました。

早速、私も購入して読み始めたのですが、これが本当に面白い。知り合いだからという訳ではなく、少なくとも今年、読んだ本の中で一番、面白いと断言できます。

まず序章からして面白すぎです。

中室先生の授業で試験前になると学生のおばあさまがしばしばお亡くなりになるという話から始まります。
どうやらその現象はわが国特有のものではなく、アメリカでも起きているらしく、ある行動経済学者がそれを詳しく調査したところ、次のような結論に至ったそうです。

「その教授が過去の自分の授業で収集したデータを分析した結果によると、祖母が亡くなる確率は、中間試験の前で通常の10倍、期末試験の前には19倍になり、さらに成績が芳しくない学生の祖母が亡くなる確率は50倍にも上ることが示されたのです。」

中室先生が授業でこの論文を学生に配布したところ、その後は試験前におばあさまが亡くなることはなくなったとのこと。

「人間はだませても、データはだませない。収集したデータを分析し、社会の構造を明らかにすることが、いかに自分たちの生活を大きく変える可能性があるかを理解してほしい」と中室先生は述べます。

確かに、教育の領域においては誰もが評論家気取りで、自分の経験を元に教育論を語ります。
そのような状況のなかで、しっかりと科学的知見に基づいた分析を行い、最適な教育のあり方を探ることは極めて重要なことです。

この本では様々な教育論について「教育経済学」の観点から分析し、意外な!?結論を導き出しています。

これは教育関係者必読の書といっても過言ではないように思います。(のじま)

「学力」の経済学

「学力」の経済学