俺の中の頼生 その4

俺の中の頼生シリーズ、鶴巻はマレーシアからお届けします。

よりおさんとの出会いは、私が大学1回生の時。職員として戻ってきたよりおさんも1年目だった。よりおさんと言えば不登校(出社拒否という訳ではない)だったのであまり絡みはなかったが、職員になってからの存在は本当に大きかった。

上司としてのよりおさんは、呑みにいこうなどの内面のフォローをする人というよりは、困難な状況になった時に何も言わずただ黙々と助けてくれるという人だった。部下を率いる上司としとして、それがどれほど大変なことか想像するだけで分かる。兄貴や第二の親父的な上司というよりは、独立した尊敬できるビジネスマンという感じだったような気がする。

個人的に最も印象深いよりおさんとのハイライトは、育休を巡る思い出だ。2011年、よりおさんが制度を整えてくれ、私が当会で育休取得者第一号となった。あの数週間の育児経験は人生の中でも本当に大きいものになっていて、感謝しかない。しかし、自分の仕事の不備で途中で育休は解除され、色々な感情が混じったままとても悔しい思いをした。

私の次はよりおさんが育休を取得した。事務局長が長期的に事務所からいなくなるのはこれが初めてのことで組織的にもかなり不安だったが、
「やっぱりよりおがいないと回らないから早く戻そう。」
と絶対に言われたくなかった。自分は育休で本当に貴重な時間を過ごせたから、よりおさんにも何の気兼ねなく育休を取ってほしかったし、取れることが当たり前の社会にしたいと思った。この数ヶ月は、自分でも圧倒的に仕事をした気がする。特に、よりおさんから引き継いだ業務と自分の業務を捌きながら、東日本大震災復興支援の補助金を取りにいこうと自発的に動いた時のあのイケメン感は、おそらく今後もうないだろう。

「俺の中の頼生」ではなく、若干「俺の中の俺」エピソードになってしまったが、いよいよ明日よりおさんが退職する。マレーシアに出発する前日、「今日で最後やね。」とよりおさんに言われ握手をした時、不意に涙が出そうになった。人の別れでほぼ泣くことはない人間だが、それだけ存在が大きかったということだと思う。これまで本当にありがとうございました、そしてお疲れ様でした。(鶴巻)