子どもたちを支える

 先日、若者自立支援の領域でトップランナーともいえる認定NPO法人育て上げネットの理事長である工藤啓さんとお話する機会があった。その中で、工藤さんはこんなことを言った。
「私の友達に若年無業者の話をすると、そんなの自己責任だから支援する必要はないといわれることがある。しかし、若年無業者を支援しないとやがて彼らは生活保護を受けることとなり、社会全体で支えなければならなくなる。自己責任だと言って、彼らを支えない人々は、やがて自分たちが払っている税金で彼らを支えることとなる。いわば、自己責任だといっている人は、彼らを支え続けることを容認しているともいえる。」
 実に面白い視点だと思った。社会の課題を放置すると、その解決のためにはさらに多くのコストがかかることとなる。そして、そのコストは納税者がそれを負担することとなる。決して、自分とは無関係ではないのだ。
 先日、私が理事を務める公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンで関西の生活保護を受給している家庭の子どもたちを対象に塾などで使えるクーポン券(学校外教育バウチャー)の2015年度利用者の募集が開始された。この原資は市民や企業からの寄付だ。この寄付者たちのある程度の割合の人たちは自分たちの寄付を将来の社会に向けた投資だと考えている。投資だといっても、自分に直接的な見返りがあるわけではない。でも、いま、困難な状況にある子どもたちを支えることは、将来のこの国を支えることだと考えている。
 かわいそうだから同情して寄付することもあるかもしれない。しかし、この国の未来を、この世界の未来を考えながら、意志を持って投資しようとする人たちも確実に増えている。
 いうまでもなく、子どもたちはやがてこの地域や国や世界を支えていく。いま、その子どもたちに投資することは、未来への投資だといえる。そんな意志を持った寄付が増えることを強く願っている。(のじま)

公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンのクーポン利用者の募集は下記をご覧ください。
◯「CFC西日本」2015年度クーポン利用者募集中です!!(応募締切3/6(金)