卒業生に送る言葉(能島)

 この過酷な組織のなかで4年間を全うされた皆さんに、心から卒業のお祝いを伝えたい。本当におめでとう。
 大学の卒業はそれまでの十数年にも及ぶ学校生活からの卒業でもある。学校生活においては、第一義的に学ぶことが求められている。そのため、プロセスに重点をおいた教育が行われる。
 しかし、これからみんなが飛び立とうとしている社会のなかでは、プロセスではなく結果が求められる。どのように努力をしていようが、苦労をしていようが、結果が出なければ無価値だと判断されることになる。ここが大きな転換点だ。
 これまではプロセス自体が評価されてきたが、これからはプロセスだけでは評価されない。ただ、この組織のなかで4年間を過ごしてきた一人一人はそのことをよく理解していると思う。どうか、社会に出て行っても、結果を出す働きをしてほしい。

「あなたがたは知らないのか。競技場で走る者は、みな走りはするが、賞を得る者はひとりだけである。あなたがたも、賞を得るように走りなさい。
 しかし、すべて競技をする者は、何ごとにも節制をする。彼らは朽ちる冠を得るためにそうするが、わたしたちは朽ちない冠を得るためにそうするのである。
 そこで、わたしは目標のはっきりしないような走り方をせず、空を打つような拳闘はしない。」(新約聖書 コリント人への第一の手紙9:24-27)

一人一人が自らの役割とその意味をしっかりと認識し、社会の中で成果を生み出していくことを心から切に願う。そして、この組織の卒業生であればそれが可能であると信じている。(能島)