相関関係と因果関係

最近、エビデンスという言葉をよく耳にしますが、エビデンスを考える上で非常に大切なのは、因果関係と相関関係をしっかりと峻別するということです。

因果関係とは文字通り、原因と結果の関係であるのに対し、相関関係は必ずしも原因と結果の関係は問われません。

例えば、年間の水死者の数とアイスクリームの売上げは時期的に一致しますが、アイスクリームが売れたからといって水死者が増えたわけでも、水死者が増えたからアイスクリームが売れた訳ではありません。つまり、この例では水死者とアイスクリームの売上げには相関関係はあるものの、因果関係があるとはいわれません。

ちなみにこの例で言えば、「気温の上昇」という共通の原因によって、「水死者の増加」と「アイスクリームの売上げの増加」という二つの結果を生じさせたと考えられる。このとき、共通の原因である「気温の上昇」のことを「交絡要因」と呼ぶ。

それ以外にもまやかしの因果関係が存在する。

因果が逆の場合だ。たとえば「火災の規模」と「出動する消防車の数」とは比例するが、当然のことながら出動する消防車が多いから、火災が大きくなったわけではない。しかし、世の中にはこの因果が逆であるにも関わらず、そのように主張されることも少なくない。

例えば国立青少年教育振興機構はこんな調査結果を発表している。

「外遊びを多くし、遊びに熱中していた人ほど、社会を生き抜く資質・能力が高い。」
http://www.niye.go.jp/kanri/upload/editor/117/File/290524gaiyou.pdf

これだけを読めば、「外遊び」(原因)をすると「生き抜く力が高い」(結果)ようになるかのように思う。
しかし、その因果関係は決して明らかではない。

「生き抜く力が高い」から「外遊び」をしている、としても、特に違和感はない。

調査報告を読めば「相関」と書かれているが、この書き方は明らかに因果があるかのように誘導していると言われてもしかたないと思う。(のじま)