結果を求める学生

久しぶりにおもしろい学生に出会った。
見た目はかなり好青年で、身長も高く、誰からも好かれていそうな雰囲気の持ち主だ。

彼と出会ったのは、彼がはじめて参加したキャリア教育のイベントで。そのとき、たまたまテレビの取材が入っており、彼の好青年感がよかったのか取材を受けていた。そして、2回目参加した時は、かなりイキッて参加してきた。
めがねを頭の後頭部にぶら下げ、「俺テレビデビューしてん!」と言わんばかりの身なりだった。
他のスタッフにも、自慢しそうな雰囲気だったので、そっと「あれローカルテレビで、その地域でしか流れてないからね」と伝えてあげた。
それでも彼は、「まじっすか?あっでも地元ではかなり有名人ってことですね。はははー」とまったく気にせず、とても明るい感じであった。

2回目参加したときの帰り、駅までの道を一緒に帰ることになった。
人見知りなので必死に話題を探し、鞄についている広島カープのマスコットキャラ「スラィリー」を見つけ、「広島ファンなん?」と聞くと、
「いえ、違います。阪神ファンです。」とずばっと切り裂かれた。
しかも、「今の阪神は嫌いなんですよね、昔の弱いときの阪神が好きなんですよ。はははー」とさらっとくる感じがたまらなく私の心をつかんだ。

中学の時は野球部に所属していたらしく、
身長は191センチ、ポジションはピッチャー!という経歴から、
もしかしたら、甲子園に出ていたのかもしれないし、出ていなくても地元では本当にかなり有名な人物なのかもしれない。
たとえ、急速が多少遅くても、191センチの高さから投げれるボールを普通の高校生が打てる訳がない。
ただならぬ人物と話をしていたのではないかと自省し、
おそるおそる質問してみた。
「結構つよかったん?」
「それが、めっちゃ弱かったんですよね。僕ピッチャーだったんですけど、打たれまくりで。
僕この身長なんですけど、実はサイドスローなんですよ。はははー。
腕もむっちゃ長いので、もうリリーフポイントみえまくりで!はははーー」
「・・・・」
なんて愉快なやつなんだ、、、

「あと僕こう見えて、高校の時は生徒会長とかやっていたんですよね。」
意外すぎる発言に、見た目と能力とのギャップがあまりにも有りすぎるので、
「本間に?」と聞き返すと、
「でも立候補したの自分だけだったんですよ。なので不信任投票ですね。はははー!
一応80%の信任票があったので、当選したんですけど、逆に言えば20%が不信任票なんですよね、学校の5分の1に嫌われていると思うと、もう怖くて怖くて、、、
そのあと非行になってしまって、学校初の生徒会長で謹慎くらいました!はははー」

こんな感じで、聞いてもいないのにどんどんとボケをほりこんでくる。
普通に歩いていても少し挙動不審なところがある、そんな人物だ。

しかし、バカにしてはいけない!彼はしっかりと成果を出してくるのだ。
別のイベントで、最初から輪に外れたやんちゃな生徒を10人ほど捕まえて、まとめあげるという結果を出してきた。
終わった後の感想は「怖かった、、、」だったが。

また、自分で企画を作ってみたいと名乗りを上げ、来週そのイベントが行われる。
かなりやる気なさそうで、「はははー」と言っていることも多いが、
彼が企画を作ると言った次の日に、友達を10人ほど新規で見つけてきた。

想いを結果に出そうとしない人が増えてくる中で、こういう想いを形にする人は本当に強いと思う。
当日がかなり楽しみでしかない。

(片岡)