専門ではないこと

私が通った大学の理学部は2001年、私が大学3回生の夏に三田へと移転しました。ド田舎、不便と何かといろいろ言われる新キャンパスですが、私が一番残念だったのは、今までのように文学部や社会学部等、他の学部の授業にもぐれなくなったことです。


理学部で数学を専門に学んでいた私ですが、暇な時間には社会学部の社会力学や社会心理学の授業にもぐりこみ、わざわざ時間を作っては私が大好きだった中国史の授業を聴きに行きました。アジア史概説、アジア史特殊講義(中国近代化に与えた明清の影響)などにいたっては、きっちりと毎回講義に出席し、試験も受けて単位をしっかり取得したほどです。


インターネットが広がり、誰でもネットワークを通じて、何にでもアクセスできるようになった今の世界は、当然のように問題も複雑化しています。数学だけ、物理学だけ、社会学だけ、それだけしか知らない、その知識しかないという状態では、本当の問題には太刀打ちできません。


「社会に出たとき、皆さんの力を決めるのは、皆さんの専門分野の知識や能力ではなく、専門ではない分野の知識や能力をどれだけ持っているかだ。」アジア史の授業で、担当の先生がおっしゃった言葉を今での思い出しながら、学生達にもそうであってほしいと思っています。(たなか)